中小企業・自営業者が「知らないと損をする情報」

 自営業者が知らないと損をする支援策の情報、中小企業支援の在り方や問題点などについて自称:小規模事業者、自営業者専門のコンサルタントが不定期に配信します。

2015年05月

 今回の平成26年度補正予算 小規模事業者持続化補助金については管内の方だけでなく、いろいろな方からご相談をいただきました。

その中でいくつか感じた事がありますので書き留めておきます。
<1.補助金の主旨が未だに理解されてない>
この補助金の主旨は
(1)経営計画のない小規模事業者に計画経営を導入すること
(2)商工会と一体となった「販路開拓」であること

 この2つが事業者に理解されていないし、一部の支援機関には理解されていない。
 これは大きな問題であると思います。

<この補助金の目的が理解されていない>
 (1)1年以内に実績が出ること。
 (2)よって、実現可能性があること

 タダ、供給側の問題もあると思います。
 使いやすさだけを求めすぎて「補助金」の本来の目的が見えなくなっている気がします。
 
<経営計画書と補助事業計画書>
 (1)この二つの計画書の意味を理解していない。

 ここは説明会等でも連合会が何度も何度も言っています。
 しかし、現実には一番できていないのがココです。
 
 経営計画書はあくまで全社的な経営計画です。
 補助事業計画書はその経営計画書のアクションプランの1つを実現化するために、それを具体的書くものですが

大半が
 経営計画書=補助事業計画書

 今年もたくさん拝見しました・・・・・・残念です。

<会議所と商工会>
 うーん。立ち位置が違うなあ。
 やはり、日商→会議所、全国連→県連→商工会
 この仕組が全く違う。

<経営指導員によって>
 違うんだろうなあ〜と思いました。
 ココ大事かも

<認定支援機関やその他の支援機関>
 残念な事が多いです。制度への理解が低すぎるなあと感じました。
 ここらで相談者に間違った指導をしてから来られると大変です。

<最後に>
制度がいろいろ変わり、小規模向けにハードルを下げて使い勝手を改善しています。
いい面も多々ありますが、しかし、下げすぎるのは疑問です。
「何でも有り」
特に採択までの話が多く、実際の運用で大丈夫か?
でも、この場合はだめじゃんね。というのが多いと思いますね。

 税金投入です。
 成果が出ない人が多かったら、我が子達の代、孫の代に不幸を先送りすることになります。
 「平成の最悪の政策」と言われないように成果が出るように有効活用して、成果を上げていただきたいと思います。

 正直言うと、使い勝手のハードルを下げるくらいなら、
「従業員6人~10人の商業・サービス業」を何とかしてあげるべきでは無いでしょうか。
 

 この補助金の結果が昨年と大きく変わっているようです。

 速報で聞いた情報では採択率は4割台とのことです。
 

 昨年度はほぼ通っていたようにおもいますが、今回は厳しい結果になっています。
 全国平均をお聞きすると約4割。
 個人的には支援先は8割だったので約倍の結果だったと思います。
 
 ポイントについては過去に書いているのでそこを網羅しておかないと厳しいようです。
 
【この補助金の大前提】
 前提は、「商工会と一体となった販路開拓の取り組みであること。」なのですが、大前提は

 「小規模事業者に経営計画書を作り経営力を向上される。」
  
 このことが欠落している方が多いように思います。 

 あくまで補助金は経営計画書の「アメ」なのです。
 

 経営計画書と補助事業計画書がほぼイコールの方が多いのですが、おそらくそれでは通りませんよ。
 しっかりと経営計画書を作ってください。ということになったのでは?
 
 補助金有りきで作成するとかなり厳しいですね。
  経営者自らが経営をしっかりと考えないと難しいように思います。

 ホームページはダメなのか?
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 「ホームページなんか採択されませんよ。ダメ」って言われました。
  という方からご相談が有りました。

  今回の申請、私は個人的には5件全てがホームページで8割採択。
  なぜなら、本会の場合平成15年から受注支援サイトを構築し小規模事業者の
  電子商取引を推進してきている実績があるからだと考えています。

  ただ、昨年からの流れを見ていてホームページで採択されたその結果が
  あまり芳しくないからだと分析しています。

  <理由1>費用対効果
  ほとんどの申請が事業費が75万以上補助金満額というのが多いそうです。
  そしてその実績報告の結果は「成果なし」その理由は「効果測定する時間がない」
  
  <理由2>成功事例が出ていない。
  他の販路開拓と比べての成功事例が少ない。

  つまり、依頼する側、依頼される側の双方が「補助金ありき」だからだと思います。
  
  <発注側>
  作ってからの運用がホームページは大切なのに
  そこまで考えず作ることが目的になっていませんか?

  販路開拓の成果を出すことが目的ではなくなっている。
  どちらかと言えば、ホームページを持つことが目的。

  何をするのか明確でなくホームページを依頼するからこのようになる。
  運用するための費用もおそらく考えられていません。

  <制作側>
  こちらも補助金があるからと筒いっぱいの提案をしている。
  計画書に出された成果が出せるのか?
  その辺りを考えて事業者に寄り添っていないように思えます。

  「いいようにホームページを作って下さい」
 
   この素晴らしい言葉は表裏一体です。

   依頼者側:売れる、注文がとれるホームページ
   業者側:事業として採算が見合うホームページ制作。

   求めるゴールが違うっていうことを小規模事業者の方は理解して置かなければなりません。
   つまり、依頼者側がしっかりとしたビジネスプランをもってどのようにネットを使って
   収益を上げるのか考えていないと、製作者側がそこまで責任を追うことが無理なわけです。
   つまり、Webマスターとしていかにサイトを運営していくか。それは経営者しか出来ません。
   制作会社はあくまで「作業」するだけなのです。

   昨年の補助金でこのミスマッチが露呈したのではないか?
   そして、成果が出せる制作会社とそうでない制作会社が一覧できるようになったのではないか
   そのように個人的に感じています

成功報酬型のコンサル契約にはご注意を
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いろいろなコンサルタントの方たちが
「補助金採択」を目的に色々なコンテンツを提供されています。

その内容の充実ぶりにはさすが「プロコンサルタント」と思ってしまうものも有ります。
しかしながら、当然、プロに頼むと報酬が発生します。
いろいろお聞きすると「採択金額」で成功報酬を支払うようなんです。

さあ、これはどういうことなんでしょうね?

採択金額で成功報酬を払うとどうなんだろう?
 簡単に言うと「もらえると思っていた金額と実際の金額は違う」
 このことを理解して置かなければなりません。

 だって、申請時はあくまで予定
 実際にやってみると金額が増える場合もあれば減る場合もあります。

 私が関与した案件はたいてい減ります。
  
 そもそも、持続化補助金の場合は公募要領には
「採択金額より実際の補助金は少なくなることが有ります」と
 書かれています。

 なぜなら、補助金って「やってみないとわからないからです」
 また、実績報告後の審査で「補助対象外経費」と認定されると
 当然、その金額は減額です。

 また、事業ですから想定外のことも起こります。
 例えば、当初予定していたことができなかった。こんなの当たり前ですよね。

 実際に補助金は申請した金額より増える事はありません。
 しかし、補助金が減る要素は無限にあります。

 よって、コンサルタントは上限いっぱいいっぱいで申請するのが多いですね。
 だって、それに対する割合で成功報酬となるからです。

 でも、事業所の方はそうは行きません。例えば、1割の成功報酬としましょう。
 採択された補助金額50万。その10%の5万円採択後に払います。

 その後、補助事業を実施し30万しか補助対象経費にならなかったとすると
 補助金の17%、約2割をコンサル料で払ったことになります。
 10%が約倍になってしまうのです。

 まあ、そんなもんで済むならいいわと思われるかもしれませんが
 小規模事業者の方にとっては大きいように思います。
 考え方によったら、とれなかったら意味が無いからと思われるかもしれません。

 でも、この持続化補助金は小規模事業者が経営計画を立て、その計画にのっとり
 事業をすることで収益をあげる。それが地域社会を支える小規模事業者に必要なこと
 と国は考えています。

 そのアメとなっているのが補助金なのに、計画自体がおざなりで補助金ありきになってしまうと
 持ったいなあと思うわけです。

 本末転倒にならないことを祈るばかりです。

持続化補助金は補助金適正化法にのっとり運用されるから罰則規定有り。

「この補助金は会計検査委員の対象とです。」
 って言われても「なんだそりゃ」でしょうね 
 みなさん「そんなものはうちには来ない」という前提なんですが
 地方事務局はたぶんそんなに甘く考えていません。

 「補助金適正化法」という法律が補助金には有ります。
 これには罰則規定が有り、虚偽の申請などが発覚すると
 「3年以内の懲役」か「100万以下の罰金」に処されます。
 つまり法律にのっとって補助金は運用するので、金額の大小に
 かかわらず手間がかかるわけです。

 補助金の最後は「実績報告」
 これを通過しないと、補助金は支払われることはありません。

 実績報告は地方事務局で念入りにチェックします。
 なぜなら、「会計検査院が来たら困る」そして、
 「補助金を適正にお支払いするため」です。

 不備があれば払うことは出来ません。だから、審査は厳しいのです。
 
 念の為に申し上げますが会議所の場合は異なります。
 各商工会議所が指導→全国事務局の日本商工会議所へ

 商工会の場合
 最寄りの各商工会→地方事務局:各都道府県商工会連合会→全国事務局:全国商工会連合会
 と商工会の方が関所が多いのです。
 
 嫌がらせではなく、法律にのっとった運用をしなければならないため細かな指摘をしているわけです。
 その辺りはご理解いただければと思います。

あなたの事業について
  書いたことは他人が見て分かりますか?
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 出されてくる計画書を読んで一番多いのが
 「何屋かよくわからない。」
 「何がウリの会社なのかわからない」

 つまり、書いている経営者自身が自社のことを分析できていない
 そのような事業計画書・補助事業計画書をよく見ます。

 果たして、それで採択されるのか?
 4月30日に採択結果が出ましたが、おそらく見ている方は悲喜こもごもだと
 思います。
 
 では、なぜそのようになったのでしょうか?
 それは、また詳しく書かせていただきますが
 補助金の目的を無視した事業計画書、補助事業計画書が多いため
 だと推察されます。

 考えなければならないのはこの補助金の「目的」です。
 売上アップのための補助金を配る事が目的では無いのです。

 「えっ」と思われる方もいらっしゃると思いますが 
  この補助金の目的はあくまで、無計画な小規模事業者に
  経営計画を作ってもらいたい。
 
  そして、その作った計画書にもとづいた経営を行って欲しい。
  それが、小規模事業者の経営を向上につながる。と国は考えているからです。

 これこそが真の目的です。

 ですから、補助金は経営計画のための「アメ」です。
 この前提を無視して補助金ありきで計画書を作るから
 おかしなことになるわけです。

 ですから、経営者自身が考えず外部の人にまるなげしているような事業計画書
 自社のことが薄っぺらく、業界や市場、商品サービスのことが全く他人ごとのように
 書かれているそんな計画書が果たして採択されますか?

 みなさんならどうします?

 そういった計画書はたいてい
 ①補助事業計画書と経営計画書がほぼイコール
  つまり、2つの計画書の意味がわかっていない。
 ②経営計画書に補助金をもらうことしか書いていない。
 ③市場やお客様、自社の商品サービスが具体的に書かれていません。
 ④1年後の目標、3〜5年の数値目標が無い。
  数字がないと具体的ではありません。

 この辺りを網羅しなければ経営計画書にならない。
 そうは思いませんか?
 

補助金は取ったら終わりじゃない。採択は「はじめの1歩」
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ゴールデンウィーク突入ですね。
 そういえば、4月30日にこの補助金の結果発表が有りました。
 一喜一憂している方も多いのではないでしょうか?

 コンサルの人や補助金をPRしている人たちはあまり言いませんが
 採択までは誰でもできます。
 大変なのがその運用と実績報告。
 (これが小規模事業者の最大の弱点)

 個人的にはなぜ補助金お取るまでの話しかする人がいないのかな?
 とった後のことなぜもっと言わないのかな?
 言わない理由は利害関係かなと想像しています(笑)

 昨年も複数の事業者の補助金完了までの様子を見させていただきましたが
 これが、きちんと出来る人、出来ない人の違い、それは、「書類整備力」です。

 単純に言うと、日々の記帳ができている人は出来る。
 そういった業務が苦手な人は正直大変です。

 なぜなら、補助金は「全て書類」であり、「書面でのやりとり」が絶対条件。
 口頭で済むことはありません。
 通常の商取引では必要のない書類も必要となるのが補助金。

【よく聞く事業者の声】
 口頭で発注しました。
 現金で払いました。
 計画と内容が変わったのでそのまますすめました。
 
 あと多いのが「聞いていません」

 説明会できちんと言われています(笑)
 
 いくら言っても「通用しません。」

 例えば持続化補助金で言うと
 仕様書作る→見積もりを取る→業者選定理由書を書く→発注書→納品書→請求書
 →口座から口座への振込で支払い(ネットバンクなら振込完了時の画面)
 という流れの全ての書類が必要です。

 しかも全て書類のつじつまがあっていないといけません。
 あれもこれも補助金でやろうとする方がいますが、
 それは正直命取り

 どんな方が大変になるかというと
 ①確定申告などでギリギリでやっている方
 ②領収書が無いと大騒ぎする方
 ③書類自体が無いとか言っている方

 まあ、これを機に書類整理が大切だと体感していただければと
 思います。

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